電子顕微鏡用固定液
固定とは、死体あるいは生体より採取した組織片の生態または病態を顕微鏡標本として観察する際に、できる限り「生きていた時の状態」のままで保存するための工程です。その目的は下記になります。
- 可能な限り速やかに組織片の主要構成成分のタンパク質を安定させ、自己融解過程(autolysis)を停止させること。
 - これに続く標本作製過程における薬品、熱等の影響による組織片の変質、変形をできる限り少なくすること。
 
現在、多くの固定法がありますが、顕微鏡の違いや(光学顕微鏡と電子顕微鏡では基本的に異なる)目的とする構造や物質の違い等により最適な方法を選択する必要があります。
各種電子顕微鏡用固定液
| 固定液の種類 | 使用濃度 | 特長 | 欠点 | 対象組織 | 
|---|---|---|---|---|
| オスミウム酸 | 1~2 % | 水洗・脱水の時間が短い。 固定中の変形が小さい。 包埋剤の浸透が良く、各種樹脂の使用可能。 りん脂質の固定に優れている。  | 
固定液浸透が弱い。 タンパク質の50 %、飽和脂肪酸は消失。  | 
細胞内微細構造 不飽和脂肪酸 DNA顆粒  | 
| 過マンガン酸カリウム | 0.6~3 % | 固定液、包埋剤の浸透は中程度。 | 固定中の変形が大きい。粘液多糖類、タンパク質、飽和脂肪酸・りん脂質の一部は消失。リボソームは固定されない。 | 細胞内膜構造 グリコーゲン顆粒 植物組織  | 
| グルタルアルデヒド | 1.5~4 % | 細胞内構造・グリコーゲン顆粒はネガティブ像、核・細胞内基質はポジティブ像。 | 水洗・脱水に時間がかかる。包埋剤(メタクリル樹脂以外)の浸透は弱い。脂質の固定が不十分。低濃度のタンパク質は固定されない。 | 多糖類 | 
| タンニン酸・アルデヒド固定 | 1 %, 2 % | アルデヒド系固定液と混ぜて可溶性タンパク質(ホルモン、酵素等の機能タンパク質)やポリペプチドを効果的に固定する。 | - | 可溶性タンパク質 ポリペプチド  | 
| 中性緩衝ホルマリン | 4 % | 可溶性タンパク質(ホルモン、酵素等の機能タンパク質)やポリペプチドを効果的に固定する。 | - | 可溶性タンパク質 ポリペプチド  | 
| パラホルムアルデヒド | 4 % | 糖タンパクの固定、抗原性の保持、組織浸透性が速い。 | 固定力は弱い。 | タンパク質抗原 | 
| PLP(Periodate-lysine-PFA) | 2% | 糖タンパク、糖の固定に良い。抗原性の保持。 | - | 糖タンパク系抗原 | 
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電子顕微鏡用固定液
アンプルタイプ固定液
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