Tau ELISAキット
Tauは、主に中枢神経系に発現する微⼩管結合タンパク質です。Tauの蓄積を特徴とする神経原線維変化はアルツハイマー病をはじめ、ピック病、進⾏性核上性⿇痺、⼤脳⽪質基底核変性症などがあり、これらを総称してタウオパチーと呼びます。アルツハイマー病患者では脳脊髄液中のTotal Tauが増加することが報告されています。また神経原線維変化を構成しているTauは過剰なりん酸化を受けていることが知られています。脳脊髄液中のりん酸化Tauはアルツハイマー病のバイオマーカーになると考えられており、特にTauの181番⽬のスレオニンがりん酸化を受けたpTau T181はアルツハイマー病に特徴的なバイオマーカーと考えられています。当社ではヒト脳脊髄液中のTotal TauもしくはpTau T181を測定できるELISAキットを販売しております。
Tauとは?
Tau (タウ) は、主に中枢神経系に発現する微⼩管結合タンパク質で、微⼩管の安定性を制御しています。アルツハイマー病患者の神経細胞内で⾒られる神経原線維変化の主要な構成成分であるだけでなく、脳内でのTauの蓄積と認知機能障害の重症度には相関があること1)から、アルツハイマー病の発症に密接に関与していると考えられています。なおTauの蓄積を特徴とする神経原線維変化はアルツハイマー病に限らず、ピック病、進⾏性核上性⿇痺、⼤脳⽪質基底核変性症などでも⾒られ、これらを総称してタウオパチーと呼びます。
アルツハイマー病患者では脳脊髄液 (CSF: Cerebrospinal Fluid) 中のTotal Tauが増加することが報告されており、脳脊髄液中のTotal Tauレベルは神経細胞の損傷や神経変性の程度を反映していると考えられています2-3)。脳脊髄液中のTauが増加する理由は未だ明らかではなく、細胞死によって細胞外に放出される、あるいは神経細胞から能動的にTauが放出されるなどの仮説が提⽰されています。
また神経原線維変化を構成しているTauは過剰なりん酸化を受けていることが知られています。脳脊髄液中のりん酸化Tauはアルツハイマー病のバイオマーカーになると考えられており、特にTauの181番⽬のスレオニンがりん酸化を受けたpTau T181はアルツハイマー病に特徴的なバイオマーカーと考えられています4)。最近の研究では、脳脊髄液中のpTau T181は脳内のTau蓄積よりもむしろアミロイドβの蓄積を反映していることが報告されました5)。
Tau ELISAキットワコー
Tau ELISA キットワコーはヒト脳脊髄液中のTotal Tauを測定可能なELISAキットです。Tauの中央部分を認識する抗体とC末端を認識する抗体を使⽤しており、りん酸化状態に関わらず、全てのTauを認識します。
キット性能
測定対象 | Total Tau |
---|---|
検量線範囲 | 4.10-1,000 pg/mL |
測定対象検体 | ヒト 脳脊髄液 |
必要検体量 | 10 μL (推奨 50 µL) |
測定時間 | 約3時間 |
検出法 | 発光系 (発光測定用プレートリーダーが必要) |
測定原理

データ
ヒト脳脊髄液での測定
⾮認知症患者 (Control)、軽度認知障害患者 (MCI)、アルツハイマー病患者 (AD) の脳脊髄液を本製品および他社製品で測定した。
[結果]
ADおよびMCIでは、Controlと⽐較してTotal Tau が増加していることが確認された。

認知機能診断テスト (MMSE スコア) との相関データ
本製品で測定した脳脊髄液中のTotal Tau濃度と採取した患者のMMSEスコアの相関性を調べた。
MMSE Score
23点以下 : 認知症の疑い
24-27点 : 軽度認知障害の疑い
28-30点 : 正常
[結果]
Tauの濃度とMMSEスコアに負の相関が⾒られ、他社製品より⾼い相関性を⽰した。

りん酸化Tau T181 ELISAキットワコー
りん酸化Tau T181 ELISA キットワコーはヒト脳脊髄液中のりん酸化Tau T181を測定可能なELISA キットです。抗りん酸化Tau T181抗体を捕捉抗体に使⽤することで、りん酸化Tau T181を特異的に測定することができます。
キット性能
測定対象 | りん酸化Tau T181 |
---|---|
検量線範囲 | 4.40-500 pg/mL |
測定対象検体 | ヒト脳脊髄液 (血清・血漿では測定不可) |
必要検体量 | 20 μL |
測定時間 | 約20時間 |
検出法 | 発光系 (発光測定用プレートリーダーが必要) |
測定原理

データ
ヒト脳脊髄液での測定
⾮認知症者 (Control)、軽度認知障害患者 (MCI)、アルツハイマー病患者 (AD) 脳脊髄液中のpTau T181 を本製品および他社製品で測定した。
[結果]
Control、MCI、AD の間で有意差が⾒られた。また他社製品に⽐べて検出不可の検体が少なかった。

認知機能診断テスト (MMSE スコア) との相関データ
本製品で測定した脳脊髄液中のpTau T181濃度と脳脊髄液を採取した患者のMMSEスコアの相関性を検討した。
MMSE Score
23点以下 : 認知症の疑い
24-27点 : 軽度認知障害の疑い
28-30点 : 正常
[結果]
pTau T181の濃度とMMSEスコア間で負の相関が⾒られた。

参考文献
- Nelson, P. T. et al.: J. Neuropathol. Exp. Neurol., 71(5), 362(2012).
Correlation of Alzheimer disease neuropathologic changes with cognitive status: a review of the literature - Arai, H. et al.: Ann. Neurol., 38(4), 649(1995).
Tau in cerebrospinal fluid: a potential diagnostic marker in Alzheimer's disease - Blennow, K. and Hampel, H.: Lancet Neurol., 2(10), 605(2003).
CSF markers for incipient Alzheimer's disease - Schoonenboom, N. S. et al.: Neurology, 78(1), 47(2012).
Cerebrospinal fluid markers for differential dementia diagnosis in a large memory clinic cohort - Therriault, J. et al.: JAMA Neurol., 80(2), 188(2023).
Association of Phosphorylated Tau Biomarkers With Amyloid Positron Emission Tomography vs Tau Positron Emission Tomography
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Tau ELISAキット
りん酸化Tau ELISAキット
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