イムノスター®
ウエスタンブロッティングでは、ペルオキシダーゼなどで標識した抗体をメンブレン上の目的タンパク質に結合させて検出する方法が一般的です。検出方法の中でも、化学発光検出 (ケミルミネッセンス) は感度が高い、レーザーなどの励起光が不要、バックグラウンドが低いなどのメリットからタンパク質の検出に広く使用されています。化学発光検出ではルミノールがHRPの基質としてよく使用されていますが、目的のタンパク質がサンプル中にごく微量にしか存在しない場合、十分なシグナルが得られないことが課題です。
当社では化学発光検出試薬として、高感度なイムノスター® LDと発光強度と発光持続性のバランスに優れたイムノスター® ゼータを開発しました。実験の目的に応じて使い分けることで、より正確なデータを得ることができます。
ウエスタンブロッティングにおける化学発光検出試薬
ウエスタンブロッティングにおけるタンパク質の検出方法
ウエスタンブロッティングでは、HRPなどのペルオキシダーゼ (POD: Peroxidase) やアルカリフォスファターゼ (AP) で標識した抗体をメンブレン上の目的タンパク質に結合させて検出する方法が一般的です。その後、標識酵素の活性を利用して基質からシグナルを取得しますが、このシグナルの種類によって発色検出、蛍光検出、発光検出に分けられます。とりわけ化学発光検出 (ケミルミネッセンス) は感度が高い、レーザーなどの励起光が不要、バックグラウンドが低いなどのメリットからタンパク質の検出に広く使用されています1)。
化学発光検出試薬の課題とイムノスター® LD、イムノスター® ゼータの誕生
化学発光検出ではルミノールがHRPの基質としてよく使用されています。ルミノールによる化学発光検出は発色検出に比べて高感度であるものの、目的のタンパク質がサンプル中にごく微量にしか存在しない場合、十分なシグナルが得られないことがあります。当社では高感度な化学発光検出試薬として、2009年にイムノスター® LD (コードNo. 296-69901) を開発しました。イムノスター® LDはルミノールの誘導体である「L-012」を発光基質に採用しており2)、ルミノールよりも発光強度が強いという特長から、従来製品よりも高感度にタンパク質を検出することが可能です (本ページ下部 イムノスター® LD 「データ」参照)。 一方でイムノスター® LDはその感度の高さゆえに、至適条件でないとバックグラウンドも高くなってしまいます。また発光の持続時間も短く、定量ダイナミックレンジが狭くなってしまうこともデメリットの一つです。そこで当社ではイムノスター® LDに加えて新たな化学発光検出試薬であるイムノスター® ゼータ (コードNo. 291-72401) を開発しました。イムノスター® ゼータは同じL-012を基質として採用しながらも、発光強度を抑えることでバックグラウンドを低減しました2)。さらに発光持続性も長く、広いダイナミックレンジでの定量が可能です。
感度に優れたイムノスター® LDとバランスのよいイムノスター® ゼータを実験の目的に応じて使い分けることで、より正確なデータを得ることができます。
製品ラインアップ
当社では、ウエスタンブロッティング用化学発光検出試薬として感度に優れた「イムノスター® LD」と発光強度と発光持続性のバランスがよい「イムノスター® ゼータ」の2種類をラインアップしています。
| 製品名 | イムノスター® LD | イムノスター® ゼータ |
|---|---|---|
| 特長 | 発光強度重視型 | バランス型 |
| 発光強度 | ◎ イムノスター®ゼータの20-100倍の発光強度 |
○ |
| 発光安定性 | △ | ◎ |
| 対応メンブレン | PVDF、ニトロセルロース | |
| 検出方法 | CCDイメージャー、X線フィルム | |
| リプロービング | 可能 | |
| こんな方におすすめ |
|
|
イムノスター® LD
イムノスター® LDは発光強度が高く、感度に優れたウエスタンブロッティング用化学発光検出試薬です。ルミノールよりも発光強度に優れたルミノール誘導体「L-012」を発光基質に採用しており、HRPなどのペルオキシダーゼ (POD) 標識抗体によるタンパク質の検出に使用できます。サンプル中の微量タンパク質の検出に適しています。
特長
- 高感度
- イムノスター® ゼータに対して20-100倍の発光強度
データ
他社製品 (高感度品) との発光強度比較
DYKDDDDK-BAPを段階希釈し、各濃度のサンプルについてウエスタンブロッティングを行い、各社化学発光検出試薬で検出した。

| Lane | DYKDDDDK-BAP (ng) |
|---|---|
| 1 | 1 |
| 2 | 0.5 |
| 3 | 0.25 |
| 4 | 0.125 |
| 5 | 0.0625 |
| 6 | 0.0313 |
| 7 | 0.0156 |
| 8 | 0.0078 |
| 9 | 0.0039 |
| 10 | 0.00195 |
- サンプル
- C末端 DYKDDDDK-BAP, 組換え体, 溶液 (コードNo. 036-22781)
- ゲル
- スーパーセップ™エース, 10-20%, 13ウェル (コードNo. 191-15031)
- メンブレン
- Immobilon®-PSQ PVDF Membrane (Merck社、メーカーコード ISEQ00010)
- 一次抗体
- 抗DYKDDDDKタグ, モノクローナル抗体 (コードNo. 018-22381)
- 二次抗体
- 抗マウス IgG(H+L), ロバ, ペルオキシダーゼ標識, アフィニティー精製 (コードNo.564-72861)
- 露光時間
- 15秒
[結果]
イムノスター® LDは、他社の高感度製品よりも、反応直後(0分時点)において最も高い発光強度を示した。また低濃度のタンパク質量 (0.0313-0.125 ng) においても他社製品より高い発光強度で検出できた。
定量ダイナミックレンジ
DYKDDDDK-BAPを段階希釈し、各濃度のサンプルについてウエスタンブロッティングを行い、イムノスター® LDで検出した。その後、直線性の高い検量線を得られるタンパク質量範囲を調べた。

- サンプル
- C末端 DYKDDDDK-BAP, 組換え体, 溶液 (コードNo. 036-22781)
- ゲル
- スーパーセップ™エース, 10-20%, 13ウェル (コードNo. 191-15031)
- メンブレン
- Immobilon®-PSQ PVDF Membrane (Merck社、メーカーコード ISEQ00010)
- 一次抗体
- 抗DYKDDDDKタグ, モノクローナル抗体 (コードNo. 018-22381)
- 二次抗体
- 抗マウス IgG(H+L), ロバ, ペルオキシダーゼ標識, アフィニティー精製 (コードNo.564-72861)
[結果]
イムノスター® LDは、0.0156-0.5 ngの範囲で高い直線性 (R2>0.99) を示した。
イムノスター® ゼータ
イムノスター® ゼータは発光強度と発光持続性のバランスを重視した化学発光検出試薬です。強い発光シグナルを示しながらも、安定した発光が持続します。また、広いタンパク質量範囲で直線性の高い検量線を得られます。ルミノールよりも発光強度に優れたルミノール誘導体「L-012」を発光基質に採用しながらも、発光強度を抑えることでバックグラウンドを低減しました。HRPなどのペルオキシダーゼ (POD) 標識抗体によるタンパク質の検出に使用できます。タンパク質量が分からず標準的な条件で使用したい、バックグラウンドを抑えたい、広いダイナミックレンジで定量したいときに適しています。
特長
- 発光強度と発光持続性のバランスに優れる
- バックグラウンドを低減
- 広いダイナミックレンジで定量可能
データ
他社製品との発光強度比較
DYKDDDDK-BAPを段階希釈し、各濃度のサンプルについてウエスタンブロッティングを行い、各社化学発光検出試薬で検出した。

| Lane | DYKDDDDK-BAP (ng) |
|---|---|
| 1 | 10 |
| 2 | 5 |
| 3 | 2.5 |
| 4 | 1.25 |
| 5 | 0.625 |
| 6 | 0.313 |
| 7 | 0.156 |
| 8 | 0.078 |
| 9 | 0.039 |
| 10 | 0.0195 |
- サンプル
- C末端 DYKDDDDK-BAP, 組換え体, 溶液 (コードNo. 036-22781)
- ゲル
- スーパーセップ™エース, 10-20%, 13ウェル (コードNo. 191-15031)
- メンブレン
- Immobilon®-PSQ PVDF Membrane (Merck社、メーカーコード ISEQ00010)
- 一次抗体
- 抗DYKDDDDKタグ, モノクローナル抗体 (コードNo. 018-22381)
- 二次抗体
- 抗マウス IgG(H+L), ロバ, ペルオキシダーゼ標識, アフィニティー精製 (コードNo. 564-72861)
- 露光時間
- 15秒
[結果]
イムノスター® ゼータは、反応直後 (0分) において、他社製品と同等以上の発光強度を示した。さらに60分、90分経過後も本製品は高い発光強度を示した。各濃度における本製品の発光強度減衰率 (90分後) は0.00-6.18%だった。
定量ダイナミックレンジ
DYKDDDDK-BAPを段階希釈し、各濃度のサンプルについてウエスタンブロッティングを行い、イムノスター® ゼータで検出した。その後、直線性の高い検量線を得られるタンパク質量範囲を調べた。

- サンプル
- C末端 DYKDDDDK-BAP, 組換え体, 溶液 (コードNo. 036-22781)
- ゲル
- スーパーセップ™エース, 10-20%, 13ウェル (コードNo. 191-15031)
- メンブレン
- Immobilon®-PSQ PVDF Membrane (Merck社、メーカーコード ISEQ00010)
- 一次抗体
- 抗DYKDDDDKタグ, モノクローナル抗体 (コードNo. 018-22381)
- 二次抗体
- 抗マウス IgG(H+L), ロバ, ペルオキシダーゼ標識, アフィニティー精製 (コードNo.564-72861)
[結果]
イムノスター® ゼータは、0.078-5 ngの範囲で高い直線性 (R2>0.99) を示した。
Immobilon®はMerck KGaAの登録商標です。
参考文献
- 森山達哉 編: 「バイオ実験で失敗しない!検出と定量のコツ」, p48(羊土社)(2005).
- 平安一成: 和光純薬時報, 80(3), 8(2012).
製品一覧
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イムノスター® LD
イムノスター® ゼータ
【本サイト掲載情報について】
- 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
- 掲載されている製品について
- 【試薬】
- 試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
- 試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
- 【医薬品原料】
- 製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
- 表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
- 表示している希望納入価格は本記事掲載時点の価格です。
