ウイルス粒子やヘパリン結合タンパク質の精製に
JNC セルファイン™ サルフェイト
セルファイン™ サルフェイトは真球状のセルロース粒子に硫酸エステル基を付加したアフィニティクロマトグラフィー用充填剤です。リガンドはヘパリンを化学的に模倣しており、動物由来原料を使用していないため安全性の高い充填剤です。インフルエンザウイルス、狂犬病ウイルス、日本脳炎ウイルス、西ナイル熱ウイルス、AAV 等のウイルスに対しアフィニティ活性があり、世界中のワクチンメーカーで使用されています。中性 pH 条件で結合し、塩濃度の増加により溶出されるため、緩和な条件で目的物を回収することが可能です。
| 品名 | セルファイン™ サルフェイト |
|---|---|
| リガンド | 硫酸エステル基 |
| マトリックス | 真球状セルロース粒子 |
| 平均粒子径 | 90μm |
| 排除限界分子量 | 約3kD |
| 操作圧 | < 0.3MPa |
| pH安定性 | 3-12 |
| 推奨CIP溶液 | 0.1 M NaOH |
| 保存液 | 20% エタノール水溶液 |
特長
- 幅広いアフィニティ活性
生ウイルス、不活化ウイルス、スプリットされたウイルスのほか、ウイルス由来抗原、細菌由来抗原、ヘパリン結合性タンパク質を精製可能
- 密度勾配超遠心法と比較し優れた時間効率、再現性、安全性
- 中性付近の穏やかな条件で吸着、溶出が可能
- 高耐圧のため高流速での操作が可能
- オートクレーブ可能
ヒトコロナウイルス（OC43）の精製例
コロナウイルスはエンベロープを持つタンパク質です。セルファイン™ サルフェイトはコロナウイルスを好適に吸着、精製することが可能です。
【分析条件】
- サンプル
- ：ベロ細胞ライセート、BPL（βプロピオラクトン）による不活化コロナウイルスを含む
- ウイルス株
- ： ヒトコロナウイルス（HCoV） OC43
- カラム
- ：5.0 mm ID x 15 mm (0.3 mL)
- 流速
- ：0.3 mL/min (滞留時間 1 min)
- 平衡化バッファー
- ：10 mMリン酸Naバッファー, 150 mM NaCl, pH 7.4
- 溶出バッファー
- ：10 mMリン酸Naバッファー, 2 M NaCl, pH 7.4
セルファイン™ サルフェイトはコロナウイルス精製に好適
狂犬病ウイルスの精製事例
- カラム
- ：50 x 70 mm (140 ml)
- 吸着バッファー
- ：0.01M Phosphate (pH 7.2)
- 溶出バッファー
- ：1M NaCl/0.01M Phosphate (pH 7.2)
| 通液前 | 精製後 | |
|---|---|---|
| 溶液体積 (mL) | 4,200 | 50 |
| ウイルス力価 | 32 | 4,096 |
| タンパク質量 (µg/mL) | 8.5 | 14 |
| 収率 (%) | 100 | 152 |
| 精製度 | 79x | |
| 濃縮度 | 126x |
セルファイン™ サルフェイトによるウイルスの濃縮と精製
インフルエンザウイルスの精製事例
| 液量 (mL) |
ウイルス力価 | タンパク質量 (µg/mL) |
回収率(%) | 精製倍率 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 尿膜液 | 4200 | 77 | 337.1 | 100 | 1 |
| 洗浄液 | 6700 | 1 | 209.2 | 2.1 | - |
| 溶出液 | 170 | 1797 | 448.0 | 94.5 | 20.1 |
鶏卵尿膜液からのインフルエンザウイルスの精製
- カラム
- ：50 x 170 mm
- 平衡化バッファー
- ：0.01M Phosphate pH 7.4
- 洗浄バッファー
- ：0.01M Phosphate pH 7.2 + 0.2M NaCl
- 溶出バッファー
- ：0.01M Phosphate pH 7.0 + 1.5M NaCl
インフルエンザウイルスを培養した鶏卵由来尿膜液を33.3mLのセルファイン™ サルフェイトに直接ロードした後、溶出させた。
94.5%のウイルス活性を維持したまま回収することができた。
抗原タンパク質の精製と脱パイロジェン
セルファイン™ サルフェイトはエンドトキシンを吸着させません。 この特徴によりウイルスや細菌性の抽出物からエンドトキシンを除去するのに適したクロマトグラフィー充填剤といえます。 百日咳菌由来の繊維状ヘマグルチニン（FHA）の精製事例を紹介しています。
- カラム
- ：16 x 70 mm (20 mL)
- サンプル
- ：800 mL B. pertussis culture fluid(endotoxin titer > 1015 by Limulus lysate test)
- 平衡化バッファー
- ：0.01M Phosphate (pH 7.6)
- 溶出バッファー
- ：1M NaCl/0.01M Phosphate (pH 7.6)
- FHA 収量
- ：94%
- 精製倍率
- ：20x
- 濃縮倍率
- ：28x (30 ml product)
- エンドトキシン
- ：リムルステスト、ウサギ、マウスの発熱試験において基準レベル以下となった。
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