洗浄操作不要!グルコース取込能力を高感度に見る

同仁化学 Glucose Uptake Plate Assay Kit

本キットに含まれるGlucose Uptake Probeは蛍光標識グルコースアナログであり、細胞のグルコース取り込み能力を測定することができます。同梱しているQuenching Bufferにより、試薬添加後の洗浄操作の手間を省いて簡便に測定が可能です。

グルコース取り込みと疾患の関連について

細胞が栄養素を取り込みエネルギーを産生する「代謝」は、近年、遺伝子発現をはじめとする多様な細胞機能の制御にも関与していることが明らかになってきています。
がん細胞では、グルコースの取り込みが著しく亢進しています。このような代謝特性はWarburg効果と呼ばれ、グルコーストランスポーター(GLUT)の過剰発現、ミトコンドリア機能の低下、低酸素環境への適応反応など、複数の機構によって制御されています。これらの変化は、がんの悪性度や治療抵抗性の指標として注目されています。
一方、アルツハイマー病などの神経変性疾患では、グルコース利用の低下と代謝異常が神経機能障害と深く関係していることが示されています。
このように、グルコース代謝の可視化は病態理解と治療開発において重要な指標となっています。

グルコース取り込みと疾患の関連について

各種疾患と細胞内代謝の関係をまとめた記事を公開中!

これからはじめる細胞内代謝

原理

細胞はさまざまな栄養素を取り込み、細胞内代謝を介してエネルギーを産生しています。このような栄養代謝は細胞外環境や細胞の状態、細胞の種類などによって異なっており、近年このような栄養代謝が単なるエネルギー産生だけでなく、遺伝子発現を含むさまざまな細胞機能制御にも関与していることが明らかとなっています。
グルコースは、主要な栄養素の一つであり、グルコースの取り込みや代謝を理解することは細胞機能を解明する上で非常に重要となります。本キットに含まれる蛍光標識グルコース誘導体 Glucose Uptake Probe-Greenはグルコーストランスポーターを介して細胞内に取り込まれるため、プレートリーダーで蛍光測定をすることで細胞のグルコース取り込み能力を測定することが可能です。
また、細胞内に取り込まれなかったGlucose Uptake Probe-Greenの蛍光を消去するQuenching Bufferも組み込まれているため、細胞の洗浄を行う必要がなく、簡便にプレートリーダーで測定することができます。

グルコース取り込みと測定原理

蛍光特性

蛍光特性
図 Glucose Uptake Probe-Greenの励起・蛍光スペクトル

従来品との比較

マイクロプレートアッセイの課題をQuenching Bufferで解決!!

本キットにはQuenching Bufferを同梱しており試薬添加後の洗浄は不要です。以下のようなお客様の課題に対応しています。

マイクロプレートアッセイの課題をQuenching Bufferで解決!
【注意点】
本キットの測定にはクリアボトムのプレートと下方励起・下方蛍光測定が可能なプレートリーダーをご使用下さい。

従来品:Glucose Uptake Assay Kit-Green

比較表

Glucose Uptake Assay Kit-Green (メーカーコード:UP02) との比較表を下記に示します。
本製品はProbe working solutionの洗浄操作がないため、プレートアッセイを簡便に行いたい方、細胞剥離を避けたい方向けのプレートアッセイ用のグルコース取り込みキットです。
一方、Glucose Uptake Assay Kit-Green(メーカーコード:UP02)は洗浄操作による剥離の懸念がない細胞種でのプレートアッセイやフローサイトメーター、イメージングでの評価をご要望の場合にご使用をお薦めしております。

同仁化学研究所
メーカーコード UP08 UP02
製品名 本製品
Glucose Uptake Plate Assay Kit
Glucose Uptake Assay Kit-Green
対応装置 プレートリーダー
(下方励起・下方蛍光測定)
蛍光顕微鏡、プレートリーダー、
フローサイトメーター
Wash Type
Non-Wash Type
測定対象 生細胞 生細胞

実験例

剥離しやすい細胞種でのグルコース取り込みの測定

本キットは細胞が剥離しにくい操作方法のため、細胞が剥離することによるばらつきを抑えて測定可能です。

上記リンクよりよくある問合せの「グルコース不含無血清培地への培地交換で細胞が剥がれてしまう場合はどうしたらいいですか?」をご覧ください。

剥離しやすい細胞種でのグルコース取り込みの測定”

<操作>

  1. 1 mg/ml Poly-D-Lysin (以下、PDL) をPBS(-)で10倍希釈した。
  2. 96-well マイクロプレート (655090 : greiner社) に希釈したPDL溶液を150 µlずつ添加し、室温で1時間静置した。
  3. PBS(-) 200 µlで3回洗浄した。
  4. MEM培地 (10% FBS、1% penicillin-streptomycin) で調製したHEK293細胞 (1.2 × 105 cells/well) をPDLコートした96-well マイクロプレート に播種し、5% CO2インキュベーター(37℃)内で一晩培養した。
  5. 900 mM 2-Deoxy-D-glucose (2-DG) 22 µl (final 100 mM 2-DG) を添加し、インキュベーター(37℃、5%CO2存在下)で2.5時間静置した。
  6. 上清を除去した後、DMEM (glucose-free、serum-free、37℃) 200 µlで2回洗浄した。
  7. DMEM (glucose-free、serum-free、37℃) 200 µlを各ウェルに添加し、インキュベーター(37℃、5%CO2存在下)で15分間静置した。
  8. 上清を除去した後、DMEM (glucose-free、serum-free、37℃)を用いて調製したProbe working solution 100 µlを添加し、インキュベーター(37℃、5%CO2存在下)で30分間静置した。
  9. Quenching Buffer (37℃) 100 µlを添加した。
  10. プレートリーダー (機種 :TECAN社 Infinite m200 PRO、ボトムリーディング、Ex/Em=488/520 nm) 測定を行った。

D-グルコース競合によるGlucose Uptake Probeの取り込み阻害

A549細胞におけるグルコース取込み能を、本製品を用いて評価しました。
High-glucose(25 mmol/l)の条件ではD-グルコースとGlucose Uptake Probeの競合阻害が起るため、Glucose-free(0 mmol/l)の条件と比較して蛍光強度が低下する結果が得られました。
このことから、Glucose Uptake Probeの取り込みがグルコース取込み能の指標となることが確認されました。

D-グルコース競合によるGlucose Uptake Probeの取り込み阻害

細胞:A549細胞
検出波長:Ex : 488 nm, Em : 520 nm

Cytochalasin BによるGlucose Uptake Probeの取り込み阻害

本キットを用いてグルコーストランスポーター阻害剤Cytochalasin BによるHepG2細胞のGlucose Uptake Probeの取り込み阻害を数値化することができました。

Cytochalasin BによるGlucose Uptake Probeの取り込み阻害

細胞:HepG2細胞
培養条件:2.5 µmol/l Cytochalasin B / DMEM (25 mmol/l Glucose, 10% FBS, 1%P/S), 37℃, 一晩
検出波長:Ex : 488 nm, Em : 520 nm
*Hoechst 33342の蛍光強度で補正

FAQ

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Glucose Uptake Plate Assay Kit

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グルコース取り込みキット(従来品)

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