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QA番号:39815

Q「毒物及び劇物取締法(毒劇法)」に指定されたもので、濃度で除外されるものはありますか。

A

「毒物及び劇物取締法※1」において、濃度による除外規定のあるものは「A及びこれを含有する製剤。ただし、○%以下を含有する製剤を除く」と記載されております。
「Aを含有する製剤」「A及びこれを含有する製剤」と示され、除外濃度の指定がない場合、当該物質を意図的に添加した製剤は、その濃度によらず原則として毒物又は劇物に該当することになります。

【FAQ(よくあるご質問)】 をご紹介いたします。

Q. アジ化ナトリウムの終濃度が「0.1%以下」であれば毒物として扱う必要はないのでしょうか。

「毒物及び劇物指定令※2」では、
『第一条(毒物)一:アジ化ナトリウム及びこれを含有する製剤を毒物とし、アジ化ナトリウム〇・一%以下を含有するものは除く』と定めています。
このため、アジ化ナトリウム(Sodium Azide)の終濃度が「0.1%以下」の製剤は、毒物及び劇物指定令が定める「毒物」には該当しません。

Q. 防腐剤としてHRP-Conjugateに「0.01%チメロサール」が含まれております。「毒物」「劇物」として取扱いが必要ですか。

「毒物及び劇物指定令※2」では、
『第二条(劇物)二十二の二:[(二―カルボキシラトフエニル)チオ](エチル)水銀ナトリウム(別名チメロサール)〇・一%以下を含有する製剤』と定めています。
このため、「0.01%チメロサール(Thimerosal)」が含まれるものは、毒物及び劇物指定令が定める「劇物」に該当します。

Q.「2-メルカプトエタノール」は「劇物」に該当しますが、「#198-15781、StemSure® 10 mmol/L 2-メルカプトエタノール溶液(×100)」 は、「毒劇物」非該当で間違い無いでしょうか。

「毒物及び劇物指定令※2」では、
『第一条(毒物)二十六の十二:二―メルカプトエタノール一〇%以下を含有するものを除く。』
『第二条(劇物)百の十七:二―メルカプトエタノール一〇%以下を含有する製剤。ただし、容量二〇リツトル以下の容器に収められたものであつて、二―メルカプトエタノール〇・一%以下を含有するものを除く。』
と定めています。
本製品は、10 mmol/Lに調製された2-メルカプトエタノール溶液で、2-メルカプトエタノールとしては「0.078%(SDS「3. 組成及び成分情報」記載)」であること、また20L以下の容器に収められたものであるため、「毒劇物」には該当しません。

Q.「#249-00097、キシレン」は、SDSによるとエチルベンゼンが20%含まれると記載がありました。キシレンは原体のみ毒劇法に該当すると認識していますが、エチルベンゼンはどのような位置づけになりますか。

「毒物及び劇物指定令※2」では、
『第二条(劇物)二十二の四:キシレン』と定めています。
当社製造製品のキシレンは、石油から精留して得ております。この際、不可抗力的な不純物として エチルベンゼンが20%程度含まれます。
従いまして、本製品は「原体に製造過程等に由来する不純物を含むもの」にあたり、 製剤ではなく 原体とみなされます。
このため、本製品はキシレン単一物質で、エチルベンゼンは意図的に添加したものではなく不純物という位置づけと判断しております。

【補足】
原体とは、原則として製剤化していない化学的純品を指すものですが、そのうち次のものについても、製剤ではなく原体とみなされます。
(1)原体に着色、着香、当該毒物又は劇物の安定又は危害の防止の目的で純度に影響がない程度に他の化学物質の添加を行ったもの
(2)原体に物理的な加工(粉砕、造粒、打錠、結晶化等)のみを行ったもの
(3)原体に製造過程等に由来する不純物を含むもの

Q.「#039-25191、クロロホルム-d, 99.8%(0.05vol%TMS含有)」は劇物ではないのでしょうか。
SDSには劇物非該当と記載されていますが、「#031-25531、クロロホルム-d, 99.8%(高純度)」には劇物と書いてあります。

「毒物及び劇物指定令※2」では、
「クロロホルム-d」(原体)は、毒劇及び劇物取締法の「劇物 等級3」に該当しますが、「#039-25191、クロロホルム-d, 99.8%(0.05vol%TMS含有)」は、クロロホルム-d原体にテトラメチルシラン(TMS)を混合した製剤(混合物)であるため、劇物には該当しません。

【補足】
劇物に分類される化学的純品(毒劇法では「原体」という。いわゆる100%の物質)に 「役割・機能」を付与した混合物は、「製剤」に分類されます。

Q. SDSを確認すると「#200-02402、トリクロロ酢酸」は「劇物」該当ですが、「#206-08082、100 w/v% トリクロロ酢酸溶液」は劇物非該当でした。溶液の濃度(何%以下)で判断しているのでしょうか。

「トリクロロ酢酸」は、「原体」のみが劇物に該当いたします。
「#206-08082、100 w/v% トリクロロ酢酸溶液」 は、トリクロロ酢酸に水を加えて調製した 「製剤(溶液)」のため非該当と判断しております。

【補足】
原体とは、原則として製剤化していない化学的純品を指すものですが、そのうち次のものについても、製剤ではなく原体とみなされます。
(1)原体に着色、着香、当該毒物又は劇物の安定又は危害の防止の目的で純度に影響がない程度に他の化学物質の添加を行ったもの
(2)原体に物理的な加工(粉砕、造粒、打錠、結晶化等)のみを行ったもの
(3)原体に製造過程等に由来する不純物を含むもの

Q. 100%のパラホルムアルデヒド「原体」は毒劇法非該当で間違いないでしょうか。

「毒物及び劇物指定令※2」では、
『第二条(劇物)九十七:ホルムアルデヒドを含有する製剤。 ただし、ホルムアルデヒド1%以下を含有するものを除く。』と定めています。
「#160-16061、パラホルムアルデヒド」において、パラホルムアルデヒドはホルムアルデヒドの縮合体であり、ホルムアルデヒド臭がする(ホルムアルデヒドが入っている)ことより、ホルムアルデヒド1%以上を含有する「製剤」とみなし「劇物」と判断しております。

Q. 「塩化銅(II)二水和物(劇物)」 を水に溶かし、2 mg / L 水溶液を作成しました。この水溶液は毒劇物となりますか。

「毒物及び劇物指定令※2」では、
『第二条(劇物)七十二:無機銅塩類。ただし、雷銅を除く』と定められています。
この場合、「製剤」は記載されていないため、該当しません。
このことにより、「塩化銅(II)二水和物」の水溶液は製剤になり普通物に該当します。劇物には該当いたしません。

【補足】
概ね、以下の概念を満たすものを「製剤」とみなしています。
(1)薬剤又はこれに類するもので、物質的機能を利用するもの
(2)希釈、混合、粉砕、ろ過等を含む調整行為が加えられたもの
(3)当該成分を利用する意図をもって調整されたもの

【参考資料】

※1 毒物及び劇物取締法
※2 毒物及び劇物指定令
※3 毒物及び劇物の盗難又は紛失防止に係る留意事項について(平成30年7月24日 薬生薬審発0724第1号)