エクソソームなど細胞外小胞 (EV) の吸着を抑制

EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬

エクソソームをはじめとする細胞外小胞 (EV: Extracellular Vesicle) は実験中にさまざまな理由で減少します。特にチューブなど実験器具への吸着は、EVをロスする大きな要因であり、EV研究のガイドラインであるMISEV2023でも、精製されたEVは保存容器に吸着しやすいことが述べられています1)。チューブへEVが吸着するのを防ぐためには、タンパク質低吸着チューブを使用することが効果的と言われています2-3)。しかしながら実験に使用するプラスチック製品はチューブに限らず、ピペットチップ、遠心濃縮チューブなどがあり、これらすべてにおいて低吸着処理したものを使用することは困難です。

サンプルや精製したEV溶液に添加するブロッキング試薬は操作性や汎用性の点において優れた解決策です。当社が開発したEV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬 (コードNo. 058-09261) はサンプルや精製したEV溶液に添加することでチューブやピペットチップ、遠心濃縮チューブへの吸着を抑制することができます。また本製品には凍結融解によるダメージからEVを保護する作用もあります。その他、動物への投与やTFFによるEV精製に特化したEV-Save™もラインアップしております。

EV-Save™とは?

EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬は、エクソソームなどの細胞外小胞 (EV) が、マイクロチューブやピペットチップ、タンデンシャルフローろ過 (TFF) のろ過膜などへ吸着することを抑制するブロッキング試薬です。サンプルや精製後のEV溶液に添加するだけで吸着抑制効果を得ることができます。また凍結融解によるダメージからEVを保護する作用もあります。当社ではそれぞれの用途に最適化されたEV-Save™をラインアップしています。

製品ラインアップ

チューブやピペットチップなどへの
EV吸着を抑制したい
+
EVを凍結融解のダメージから
保護したい

EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬

EV吸着を抑制しつつ、
動物へ投与したい
+
EVを凍結融解のダメージから
保護したい

in vivo
EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬

TFFろ過膜への
EV吸着を抑制したい
+
EVを凍結融解のダメージから
保護したい

TFF用
EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬

EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬

EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬は、EVがチューブやピペットチップなどの実験器具へ吸着するのを抑制するポリマーベースのEV吸着防止・凍結保護試薬です。実験中および保管中に生じるEVの減少を抑制し、回収率を高めます。また本製品は凍結融解からEVを保護する効果もあります。EVの限外ろ過、精製、保管の前に本製品をサンプルへ添加してご使用ください。

特長

  • マイクロチューブやピペットチップなどへのEV吸着を抑制
  • 繰り返しの凍結融解からEVを保護
  • サンプルや精製EV溶液にEV-Save™を添加するだけの簡単操作

推奨サンプル

  • サンプル (細胞培養上清など)
  • 精製EV溶液
※ 血清・血漿や夾雑物が多いサンプルでは吸着防止効果が得られにくくなります。

解析への影響

以下の実験ではEV-Save™の添加によって解析結果に影響がないことを確認しています

  • Nanoparticle Tracking Analysis (NTA)
  • ウエスタンブロッティング
  • ELISA
  • マイクロアレイ
  • 細胞培養
※ 本製品には吸着抑制用のポリマーが含まれています。ポリマーが実験結果に影響を与える恐れがある場合は、本製品を使用しないでください。

データ

吸着抑制効果

PSアフィニティー法により精製したCOLO201細胞由来EVにEV-Save™を添加し、3分静置した。その後、別のチューブに移し替え、これを繰り返した。サンプルチューブ内のEV量 (CD63シグナル) はPS Capture™ Exosome ELISA Kit (Anti Mouse IgG POD) により測定した。

[結果]
チューブを移し替えることでCD63シグナルは低下するが、EV-Save™を添加することで、チューブ移し替えによるシグナルの低下はほぼ完全に抑制された。

凍結保護効果

PSアフィニティー法により精製したCOLO201細胞由来EVにEV-Save™を添加し、凍結融解を行った。サンプルチューブ内のEV量 (CD63シグナル) はPS Capture™ Exosome ELISA Kit (Anti Mouse IgG POD) 、EVの形態は透過型電子顕微鏡を用いて解析した。

(1) ELISA
(2) 電子顕微鏡

[結果]
EV-Save™未添加のサンプルでは凍結融解によりCD63シグナルは低下するが、EV-Save™を添加することで、凍結融解によるシグナルの低下は抑制された。電子顕微鏡による観察でも粒子数の減少が抑制されていることが確認できた。

in vivo 用 EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬

in vivo 用 EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬は構成成分に医薬品添加剤として使用実績のある成分のみを使用しています。実験動物へのEV投与などにもご使用いただけるEV吸着防止・凍結保護試薬です。

特長

  • マイクロチューブやピペットチップなどへの吸着による細胞外小胞 (EV) のロスを抑制
  • EVを凍結融解のダメージから保護
  • サンプルや精製EV溶液にEV-Save™を添加するだけ
  • 構成成分は体外排出される分子量かつ医薬品添加剤として使用実績のあるものを採用

推奨サンプル

  • サンプル (細胞培養上清など)
  • 精製EV溶液
※ 血清・血漿や夾雑物が多いサンプルでは吸着防止効果が得られにくくなります。

解析への影響

以下の実験ではEV-Save™の添加によって解析結果に影響がないことを確認しています

  • Nanoparticle Tracking Analysis (NTA)
  • ウエスタンブロッティング
  • ELISA
  • マイクロアレイ
  • 細胞培養
※ 本製品には吸着抑制用のポリマーが含まれています。ポリマーが実験結果に影響を与える恐れがある場合は、本製品を使用しないでください。なお限外ろ過を使用する場合はEV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬 (コードNo. 058- 09261)をご使用ください。

データ

吸着抑制効果

EV-Save™ (従来品) およびin vivo 用 EV-Save™をPSアフィニティー法により精製したCOLO201細胞由来EVに添加し、16時間、4℃で保管した。その後、サンプルチューブ内のCD9シグナルをPS Capture™ Exosome ELISA Kit (Streptavidin HRP) により測定した。

[結果]
EV-Save™未添加の場合、CD9シグナルは低下したが、これはEV-Save™およびin vivo 用 EV-Save™を添加することにより抑制された。

凍結保護効果

EV-Save™ (従来品) およびin vivo 用 EV-Save™をPSアフィニティー法により精製したCOLO201細胞由来EVに添加し、1回もしくは3回凍結融解を繰り返した。その後、サンプルチューブ内のEV量 (CD9シグナル) をPS Capture™ Exosome ELISA Kit (Streptavidin HRP) により測定した。

[結果]
EV-Save™未添加の場合、凍結融解によりCD9シグナルは低下したが、これはEV-Save™およびin vivo 用 EV-Save™を添加することにより抑制された。

TFF用 EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬

タンデンシャルフローろ過 (TFF) はEVを単離する手法の一つです。ろ過膜と平行してサンプルを流すことによりフィルターが目詰まりを起こしにくいという特長があり、EVを大量に精製する際に用いられています。しかしながらTFFで処理すると、ろ過膜にEVが吸着してしまい収量が低下するという課題がありました。またこれまでのEV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬にはTFFのろ過膜に対する吸着抑制効果はありませんでした。
TFF用 EV-Save™ 細胞外小胞ブロッキング試薬は、TFFにおいて、EVがろ過膜へ吸着することを防止するブロッキング試薬です。本製品を添加することで、TFFにおけるEVの回収率を向上させることができます。

特長

  • TFFでの精製・濃縮において、ろ過膜へのEV吸着を抑制
  • EVを凍結融解のダメージから保護
  • サンプルおよび平衡化バッファーに添加するだけの簡単操作

推奨サンプル

  • サンプル (細胞培養上清など)
  • TFF 平衡化バッファー
※ 血清・血漿や夾雑物が多いサンプルでは吸着防止効果が得られにくくなります。

解析への影響

以下の実験ではEV-Save™の添加によって解析結果に影響がないことを確認しています

  • Nanoparticle Tracking Analysis (NTA)
  • ウエスタンブロッティング
  • ELISA
※ 本製品には吸着抑制用のポリマーが含まれています。ポリマーが実験結果に影響を与える恐れがある場合は、本製品を使用しないでください。

データ

吸着抑制効果

  1. Tim4レジンカラム (1 mL) を用いて骨髄由来MSC (BMMSC) および脂肪組織由来MSC (ADMSC) の培養上清からEVを精製した。
  2. Repligen社のTFFシステムで、本製品を1/100量添加したHBSバッファーへバッファー交換した。
  3. PS Capture™ エクソソームELISAキット(ストレプトアビジンHRP) を用いて、バッファー交換後のEV溶液についてEV回収率を評価した。検出抗体には抗CD63抗体もしくは抗CD81抗体を使用した。

[結果]
TFF用 EV-Save™の添加により、TFFにおけるEVの回収率が向上した。

参考文献

  1. Welsh, J. A. et al.: J. Extracell. Vesicles, 13(2), e12404(2024).
    Minimal information for studies of extracellular vesicles (MISEV2023): From basic to advanced approaches
  2. Evtushenko, E. G. et al.: PloS One, 15(12), e0243738(2020).
    Adsorption of extracellular vesicles onto the tube walls during storage in solution
  3. 吉岡祐亮、落谷孝広編: 「決定版エクソソーム実験ガイド」, p.51 (羊土社) (2020).

製品一覧

  • 項目をすべて開く
  • 項目をすべて閉じる

スタンダードタイプ

in vivo

TFF用

関連製品一覧

  • 項目をすべて開く
  • 項目をすべて閉じる

EV単離・精製キット

EV単離・精製キット (多検体用)

EV大量精製カラム/バッファー

精製EV用 miRNA抽出・精製キット

EVマーカー ELISAキット

EVフローサイトメトリーキット

抗EVマーカー抗体

EV染色試薬

精製EV

間葉系幹細胞 (MSC) 増殖・EV産生 培地/サプリメント

  • 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
  • 掲載されている製品について
    【試薬】
    試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
    試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
    【医薬品原料】
    製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
  • 表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
  • 表示している希望納入価格は本記事掲載時点の価格です。