オルガノイド培養 低分子化合物
オルガノイド (Organoid) は、試験管内で幹細胞を起点に構築される臓器のミニチュアモデルです。幹細胞の自己複製能力と多様な細胞への分化能力を活かし、細胞が自律的に組織化・構造化することで、三次元的な組織様構造を再現しています。
2006年のiPS細胞樹立の発表後、iPS細胞に関わる文献が数多く発表されています。当社では、これらの論文で紹介されている、ES細胞やiPS細胞からオルガノイドを培養する際に使われる低分子化合物を取り扱っています。
Ready-to-useの溶液製品や、エンドトキシン試験やマイコプラズマ試験を実施したCultureSure™ シリーズもございます。
オルガノイド培養だけでなく、ES細胞やiPS細胞の各種実験用途に使用できる低分子化合物も豊富に取り揃えています。
オルガノイド培養用 低分子化合物一覧表
オルガノイド培養に使用する低分子化合物をまとめています。
製品タイプ (粉末、液体など) や作製対象となる臓器ごとに、目的に合った製品を簡単に探すことができます。
| 製品 | 基礎研究向け | MF製品 | GMP準拠 | オルガノイド | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 粉体 | 液体 | 脳・神経 | 肺 | 心臓 | 肝臓 | 膵臓 | 腎臓 | 尿管 | 腸 | |||
| A-83-01 | 〇 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||||||
| CHIR99021 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |
| DAPT | 〇 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ||||||
| Dexamethasone | 〇 | ✓ | ✓ | |||||||||
| Dorsomorphin | 〇 | ✓ | ✓ | ✓ | ||||||||
| Forskolin | 〇 | ✓ | ✓ | ✓ | ||||||||
| IBMX | 〇 | ✓ | ||||||||||
| IWP-2 | 〇 | ✓ | ✓ | ✓ | ||||||||
| IWR-1-endo | 〇 | ✓ | ✓ | ✓ | ||||||||
| LDN193189 | 〇 | ✓ | ✓ | ✓ | ||||||||
| Purmorphamine | 〇 | ✓ | ||||||||||
| all-trans-Retinoic Acid | 〇 | ✓ | ✓ | ✓ | ||||||||
| TTNPB | 〇 | ✓ | ✓ | |||||||||
| SAG | 〇 | ✓ | ||||||||||
| SB431542 | 〇 | 〇 | 〇 | ✓ | ✓ | |||||||
| Y-27632 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | |||
各オルガノイドの文献等の詳細は、以下のボタンからご覧いただけます。
オルガノイドの培養
オルガノイドの培養システムは、内胚葉 (endoderm)、中胚葉 (mesoderm)、外胚葉 (ectoderm) の3つの胚葉系統すべてに由来する組織構造を、三次元的に模倣・再現することを目的として開発されました。各組織特異的なオルガノイド誘導プロトコールは多岐にわたるものの、基本的には多能性幹細胞や組織特異的前駆細胞を細胞外マトリックスに埋め込みます。そして、幹細胞集団の自己複製および分化を制御するために、Wnt、EGF、FGF、BMPなどの成長因子を含むカスタマイズされた培地を用いて、微小環境の生体内シグナルを精密に再現します1,2)。
こうした培養条件下において、細胞群は自己組織化能を示し、三次元のオルガノイド構造を形成します。多くのオルガノイド培養モデルは継代培養が可能であり、長期的かつ安定的に培養系を維持できることが特徴です。例として、単一肝臓前駆細胞由来の肝臓オルガノイドでは、約3か月間の培養後の全ゲノムシーケンス解析において、ゲノム上の変異が極めて少なく、高い安定性が担保されていることが報告されています3)。
これまでに、腸、肝臓、膵臓、腎臓、肺など、多様な組織由来オルガノイドの樹立および培養が多数の研究により実証されています。これらのモデルは、疾患モデリング、創薬スクリーニング、再生医療、基礎発生生物学の解析など、多方面での応用が進展しています1,4)。

参考文献
脳・神経オルガノイド

ヒトの脳・神経オルガノイドは、実験的および倫理的制約から、初代神経細胞や摘出組織ではなく、多能性幹細胞 (hPSC) を用いて分化誘導され樹立されます。これにより、ヒト脳の発生期における多様な神経系細胞集団の構成および高度に組織化された三次元構造をin vitro上で再現可能です。げっ歯類などの動物モデルと比較して、ヒト特有の中枢神経系の発生機構やニューロン回路形成、神経発達障害の病態解明に対する再現性が高く、自閉症スペクトラム障害、統合失調症、さらにジカウイルス感染症に伴う神経発達障害などの病理モデルとして極めて有用です。
脳・神経オルガノイドの作成に使用される低分子化合物
- DAPT
- Dorsomorphin
- IWP-2
- IWR-1-endo
- LDN193189
- Purmorphamine
- all-trans-Retinoic Acid
- SAG
- SB431542
- Y-27632
参考文献
肺オルガノイド

肺オルガノイドは、ヒトの肺組織の発生過程や、SARS (重症急性呼吸器症候群)、2009年の新型インフルエンザ (H1N1)、MERS (中東呼吸器症候群) などのウイルス感染症や、嚢胞性線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患 (COPD) などの呼吸器疾患、さらには大気汚染や喫煙の影響を研究するために用いられる三次元 (3D) 培養モデルです。従来の不死化細胞株や初代肺細胞とは異なり、肺オルガノイドでは多様な分化細胞が含まれ、肺の複雑な組織構造や機能をより正確に再現しています。また、肺オルガノイドは患者由来の微量な組織サンプルや多能性幹細胞から樹立可能であり、個別化医療の発展や病態特異的なバイオバンクの構築への活用も期待されています。
肺オルガノイドの作成に使用される低分子化合物
- CHIR99021
- DAPT
- Dexamethasone
- Dorsomorphin
- IBMX
- IWP-2
- all-trans-Retinoic Acid
- SB431542
- Y-27632
参考文献
心臓オルガノイド

心臓オルガノイドは、心臓の機能的な三次元in vitro モデルです。
微小重力環境での培養やチップ上での操作技術により、より成熟した心臓組織を再現し、薬物スクリーニングや疾患モデル構築、個別化医療への応用が進んでいます。
心臓オルガノイドの作成に使用される低分子化合物
- CHIR99021
- IWP-2
- IWR-1
- all-trans-Retinoic Acid
- Y-27632
参考文献
肝臓オルガノイド

肝臓オルガノイドは、肝臓の機能的な三次元in vitro モデルです。
肝細胞だけでなく、血管系細胞なども含めて自己組織化し、立体構造と解毒・代謝機能などを再現します。現在、肝臓の発達、再生、解毒、代謝研究、肝疾患モデリングなど、さまざまな研究で活用されています。
肝臓オルガノイドの作成に使用される低分子化合物
- A83-01
- CHIR99021
- DAPT
- Dexamethasone
参考文献
膵臓オルガノイド

膵臓オルガノイドは、膵臓の機能的な三次元in vitro モデルです。
膵管細胞や前駆細胞など膵臓特有の細胞を含み、消化酵素の分泌やホルモン産生の一部を再現します。膵臓の発達メカニズム、糖尿病や膵臓がんなどの疾患研究、創薬スクリーニングなどに活用されています。
膵臓オルガノイドの作成に使用される低分子化合物
- CHIR99021
- LDN193189
- TTNPB
参考文献
腎臓・尿管オルガノイド
腎臓オルガノイド

腎臓オルガノイドは、腎臓の機能的な三次元in vitro モデルです。
ネフロンや血管系、間質など肝臓の一部機能を再現します。
腎臓病のモデル化、腎臓の発達研究、腎毒性化合物スクリーニングなどに活用されています。また、世界的に深刻な健康問題の一つである慢性腎臓病 (Chronic Kidney Diesease:CDK) の治療開発の手段としても注目されています。
腎臓オルガノイドの作成に使用される低分子化合物
- A-83-01
- CHIR99021
- DAPT
- Dorsomorphin
- Forskolin
- Y-27632
参考文献
尿管オルガノイド
尿管オルガノイドは、尿管の機能的な三次元in vitro モデルです。
尿管を構成する上皮細胞や間質細胞を再現します。尿管疾患の病態解明、人工腎臓への応用などの移植医療、創薬研究への活用が期待されています。
尿管オルガノイドの作成に使用される低分子化合物
- A-83-01
- CHIR99021
- Forskolin
- LDN193189
- TTNPB
参考文献
腸オルガノイド

腸オルガノイドは、腸組織の機能的な三次元in vitro モデルです。
2009年にマウス小腸オルガノイドモデルの成功が報告されて以降、マウス大腸、ヒト小腸・大腸オルガノイドの培養方法が確立されています。現在では、創薬の上流過程、患者個別の薬物スクリーニング、腫瘍・免疫研究、感染性病原体の病態形成といった研究にも活用されています。
腸オルガノイドの作成に使用される低分子化合物
- A-83-01
- CHIR99021
- DAPT
- Forskolin
- Y-27632
参考文献
製品一覧
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- 掲載されている製品について
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- 試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
- 試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
- 【医薬品原料】
- 製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
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