精製EV用 RNA定量キット
エクソソームをはじめとする細胞外小胞 (EV: Extracellular vesicle) には、mRNAやmiRNAなどさまざまなRNAが内包されており、生体内での役割はもちろん、これらのRNAを疾患のバイオマーカーなどに役立てようという研究が盛んに行われています。RNAの網羅的な解析には次世代シークエンス (NGS) やマイクロアレイが用いられますが、これらの解析では事前にRNA量を測定する必要があります。当社では精製EVに存在する微量なRNAも測定可能なRNA定量キットを販売しております。
製品概要
本製品は、細胞培養上清や血清・血漿などから精製したエクソソームなどの細胞外小胞 (EV: Extracellular Vesicle) のtotal RNAを定量するキットです。RNA結合性蛍光色素を利用することで、溶液中に含まれる微量RNAを高感度に定量することができます。EV研究において次世代シークエンス (NGS) やマイクロアレイの前工程でRNA定量が必要な場合にご使用ください。
特長
- 少量 (1-20 μL) のRNA検体で測定可能
- 高感度 (定量範囲: 0.1-10 ng/μL)
- 短時間測定 (反応時間: 5分)
適応
精製EV溶液
EVの単離・精製にはMagCapture™ Exosome Isolation Kit PS Ver.2 (コードNo. 290-84103)、RNAの抽出・精製には精製EV用 マイクロRNAエキストラクター® キット (コードNo. 294-84601)がお使いいただけます。
プロトコル
1.試薬の調製
- 1x希釈液
- : 希釈液 (20x) にヌクレアーゼフリー水を1:20となるよう添加し、よく混合する。
- 蛍光試薬溶液
- : 蛍光試薬に1x希釈液を1:2,000となるよう添加し、よく混合する。 (アルミホイルを巻くなどして遮光)
- コントロールRNA溶液
- : コントロールRNAを下表に示すように段階希釈し、各濃度のRNA溶液を調製する。
RNA濃度 (ng/μL) | コントロールRNA溶液の容量 | 1x希釈液 |
---|---|---|
100 | コントロールRNA原液:100 μL | - |
10 | 100 ng/μL溶液:10 μL | 90 μL |
5 | 10 ng/μL溶液:50 μL | 50 μL |
2.5 | 5 ng/μL溶液:50 μL | 50 μL |
1.25 | 2.5 ng/μL溶液:50 μL | 50 μL |
0.625 | 1.25 ng/μL溶液:50 μL | 50 μL |
0.3125 | 0.625 ng/μL溶液:50 μL | 50 μL |
0.15625 | 0.3125 ng/μL溶液:50 μL | 50 μL |
上記の表は希釈の一例となりますので、サンプルに合わせてコントロールRNA溶液の濃度を調整してください。
例えば、COLO201細胞由来EVから抽出したRNAを定量する場合の段階希釈は以下を推奨します。
RNA濃度 (ng/μL) | コントロールRNA溶液の容量 | 1x希釈液 |
---|---|---|
100 | コントロールRNA原液:100 μL | - |
1 | 100 ng/μL溶液:2 μL | 198 μL |
0.5 | 10 ng/μL溶液:50 μL | 50 μL |
0.25 | 5 ng/μL溶液:50 μL | 50 μL |
0.125 | 2.5 ng/μL溶液:50 μL | 50 μL |
0.0625 | 1.25 ng/μL溶液:50 μL | 50 μL |
0.03125 | 0.625 ng/μL溶液:50 μL | 50 μL |
0.015625 | 0.3125 ng/μL溶液:50 μL | 50 μL |
2.RNAの定量
- 96 ウェルプレートの使用する各ウェルに蛍光試薬溶液を200 μLずつ分注する。
- 標準品測定ウェルに希釈調製した各濃度のコントロールRNA溶液を10 μLずつ分注する。
ブランクには1x希釈液を10 μLずつ分注する。 - 検体測定ウェルに測定用RNA検体を1-20 μLずつ分注する。
- マイクロプレート振とう器もしくはピペッティング操作で各ウェルの混合液を攪拌する。
- 遮光し、室温で5分間インキュベートする。
- プレートリーダーを使用して蛍光 (励起波長492 nm、蛍光波長540 nm) を測定する。

<参考: ウェルの配置 (COLO201細胞由来EVから抽出したRNAを定量する場合)>
データ
精製EV由来RNAの定量
臍帯由来間葉系幹細胞の細胞培養上清からMagCapture™ Exosome Isolation Kit PS Ver.2 (コード No. 290-84103) を用いて、EVを単離し、精製EV用マイクロRNAエキストラクター® キット (コードNo. 294-84601) を用いてtotal RNAを抽出した。その後、本製品を用いて、抽出したRNA溶液5 μLのRNA量を測定した。
(1) 検量線
(2) RNA測定値
実測値 (RFU ⊿Blank) | RNA量 (ng) |
---|---|
4,239 | 0.977 |
[結果]
本製品を用いてEV中のRNAを定量可能であることが確認された。
製品一覧
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- 掲載されている製品について
- 【試薬】
- 試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
- 試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
- 【医薬品原料】
- 製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
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