エクソソームマーカー抗体
エクソソームなどの細胞外小胞 (EV: Extracellular Vesicle) に発現するCD9、CD63、CD81などのテトラスパニンファミリータンパク質はEV/エクソソームマーカーとして利用されています。当社ではDNA免疫法で作製したCD9、CD63、CD81に対する抗体などをラインアップしています。当社の抗体は従来の抗体と比較して、ネイティブフォームのタンパク質を高感度に検出することができます。
製品ラインアップ
| 標的タンパク質 | CD9 | CD63 | CD81 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 抗体種 | モノクローナル抗体 | モノクローナル抗体 | モノクローナル抗体 | |||||||
| クローンNo. | 1K | 30B | 77B | 3-13 | 17B1 | 9B | ||||
| 免疫動物 | マウス | ラット | ラット | マウス | マウス | ラット | ||||
| 交差性※ | ヒト | ++ | ++ | ++ | ++ | ++ | ++ | |||
| ウシ | ++ | - | - | - | ++ | ± | ||||
| マウス | - | - | - | - | - | - | ||||
| ラット | + | ± | ± | - | - | - | ||||
| 標識 | 未標識 | ビオチン | 未標識 | ビオチン | 未標識 | ビオチン | 未標識 | 未標識 | ビオチン | |
| アプリケーション | ELISA | + | + | + | + | + | + | + | + | + |
| FCM | + | - | + | - | + | - | + | + | - | |
| IP | + | - | - | + | + | - | + | - | + | |
| WB | + | + | + | + | + | - | + | + | + | |
| コードNo. | 014-27763 | 019-27953 | 019-28173 | 017-28211 | 012-27063 | 019-27713 | 011-27773 | 010-28223 | 011-28111 | |
※ 抗体の交差性はELISAで測定しています。「全く反応しない (-)」は測定値がブランクと同程度であることを示しています。
++: 反応する / +: 弱く反応する / ±: ごくわずかに反応する / -: 全く反応しない
ELISAキット、フローサイトメトリーキット、免疫沈降用磁気ビーズとの組み合わせ
当社ではEV研究に使用可能なELISAキット、フローサイトメトリーキット、免疫沈降用磁気ビーズをラインアップしています。各製品との併用におすすめの抗体は以下の通りです。
| 製品名 | 一次抗体 (抗EVマーカー抗体) の検出・捕捉方法 |
推奨抗体 (ELISA/FCM: 検出用, IP: 捕捉用) | ||
|---|---|---|---|---|
| CD9 | CD63 | CD81 | ||
| ELISAキット (ELISA) | ||||
| PS Capture™ エクソソームELISAキット (ストレプトアビジンHRP) | HRP標識ストレプトアビジン | 019-27953 | 019-27713 (キットに付属) |
011-28111 |
| CD9-Capture ヒトエクソソームELISAキット (ストレプトアビジンHRP) | HRP標識ストレプトアビジン | 017-28211 (キットに付属) |
- | - |
| CD63-Capture ヒトエクソソームELISAキット (ストレプトアビジンHRP) | HRP標識ストレプトアビジン | - | 019-27713 (キットに付属) |
- |
| CD81-Capture ヒトエクソソームELISAキット (ストレプトアビジンHRP) | HRP標識ストレプトアビジン | - | - | 011-28111 (キットに付属) |
| フローサイトメトリーキット (FCM) | ||||
| PS Capture™ エクソソームフローサイトメトリーキット | 蛍光標識二次抗体 (抗マウスIgG抗体) |
014-27763 | 012-27063 | 011-27773 |
| 蛍光標識二次抗体 (抗ラットIgG抗体) |
019-28173 | - | 010-28223 | |
| 蛍光標識ストレプトアビジン | 019-27953 017-28211 |
019-27713 | 011-28111 | |
| 免疫沈降用磁気ビーズ (IP) | ||||
| MagCapture™ HP タマビジン™2-REV もしくはストレプトアビジン固相化磁気ビーズ |
Tamavidin2-REV もしくはストレプトアビジン |
019-27953 017-28211 |
019-27713 | 011-28111 |
※ 測定可否はサンプルなどの実験条件によって異なります。適応を保証するものではありませんので、あらかじめご了承ください。
製品ラインアップ
学術コンテンツ
細胞外小胞 (EV) のマーカータンパク質
エクソソームをはじめとする細胞外小胞 (EV: Extracellular Vesicle) のマーカータンパク質にはテトラスパニンファミリー (CD9、CD63、CD81) やインテグリンファミリー (ITGA、ITGB)、ESCRT複合体結合タンパク質 (TSG101) やそのアクセサリータンパク質 (ALIX)、脂質ラフトマーカー (フロチリン)、ヒートショックタンパク質 (HSP70) などが知られています。しかしながらマーカータンパク質の発現レベルは由来する細胞などによってさまざまであり、場合によっては特定のマーカータンパク質をほとんど発現していないものも存在します。
国際細胞外小胞学会 (ISEV) は、2023年にポジションペーパーであるMISEV20231)を発表し、細胞外小胞の特徴および非小胞性細胞外粒子 (NVEP) の存在を示すマーカータンパク質の一例を挙げています (表1)。論文では、細胞外小胞に存在するタンパク質 (表1のカテゴリー1およびカテゴリー2) に加え、リポタンパク質やアルブミンなど混入しやすい不純物 (カテゴリー3) について各カテゴリー最低1つずつ確認すべきと述べています。カテゴリー4は細胞外小胞の細胞内起源について、カテゴリー5は細胞外小胞と共に分離される成分の情報を追加する際に確認されます。
表1 細胞外小胞の特性評価に用いるマーカータンパク質の例 (MISEV2023より一部抜粋)
カテゴリー1
細胞膜もしくはエンドソームに関連する膜貫通タンパク質 (もしくはGPI結合型タンパク質)
1a: 複数回膜貫通型タンパク質
テトラスパニン (CD9、CD63、CD81、CD82)、複数回膜貫通タンパク質 (CD47、TSAP6) など
1c: GPI結合型または脂質結合型タンパク質
GPC1、CD73、CD59
カテゴリー2
細胞外小胞に含まれる細胞質タンパク質
2a: 脂質や膜タンパク質への結合能を有する
ESCRT複合体I/II/III (TSG101、CHMP) およびアクセサリータンパク質 (ALIX)、フロチリン、カベオリン、シンテニンなど
2b: 細胞外小胞 (およびおそらく非小胞性細胞外粒子) へ無差別に取り込まれる
ヒートショックタンパク質 (HSC70、HSP84)、アクチン、チューブリン、GAPDH
カテゴリー3
細胞外小胞と共に単離される非細胞外小胞構造体 (非小胞性細胞外粒子)
3a: リポタンパク質 (主に肝臓で産生、血清・血漿に豊富)
アポリポタンパク質
3b: タンパク質およびタンパク質-核酸の凝集体
免疫グロブリン、Tamm-Horsfall タンパク質、アルブミン、YWHA (14-3-3)、AGO
3c: エクソメアまたはスーパーメアに豊富なタンパク質
HSP90AA/B、TGFBI、HSPA13、LDHA/B
カテゴリー4
細胞膜やエンドソーム以外の細胞内小器官に関連する膜貫通タンパク質、脂質結合タンパク質、可溶性タンパク質
4a: 核
ヒストン、ラミンA/C
4b: ミトコンドリア
VDAC、シトクロムC (CYC1)、TOMM20
4c: 分泌経路 (小胞体、ゴルジ体)
カルネキシン (CANX)、Grp94、BIP、GM130
4d: その他 (オートファゴソーム、細胞骨格など)
LC3、アクチニン1/4 (ACTN1/4)
カテゴリー5
細胞外小胞とともに回収される分泌タンパク質 (EVコロナもしくはEVの機能性成分)
5a: 血液由来のコロナタンパク質
アポリポタンパク質、補体、フィブリノーゲン (カテゴリー3aと3bと一部重複)
5b: サイトカインおよび成長因子
TGFB1/2、IFNG、VEGFA、FGF1/2、PDGF、EGF、インターロイキン
5c: 細胞接着および細胞外基質タンパク質
フィブロネクチン (FN1)、コラーゲン、MFGE8など
細胞外小胞マーカーに対する抗体の作製
細胞外小胞のマーカータンパク質の内、CD9、CD63、CD81のような膜タンパク質はその複雑な立体構造により、従来の方法では高品質な抗体を取得するのが難しいとされています。この問題を解決するために当社の抗CD9、CD63、CD81抗体は「DNA免疫法」を用いて作製しています。
図1 DNA免疫法
DNA免疫法は、ペプチドやタンパク質抗原の代わりに、ターゲット抗原のcDNAを含む発現ベクターを免疫動物に投与します。投与されたターゲット抗原のcDNAは、ベクター内のプロモーターによって転写され、免疫動物の体内で発現して抗原となります。この方法で作製された抗体は基本的にNative Formの抗原を認識するため、複雑な立体構造をもつ膜タンパク質に対しても高親和性の抗体を得ることができます (図1)。
実際に抗CD9, モノクローナル抗体 (1K)(コードNo. 014-27763) を用いて、COLO201細胞培養上清から精製した細胞外小胞のCD9を非還元条件のウエスタンブロッティングで検出したところ、従来品に比べて、高感度にCD9タンパク質を検出できました (図2)。抗CD63抗体や抗CD81抗体においても同様の結果が得られており、当社抗体はエクソソームをはじめとする細胞外小胞研究の検出・解析ツールとして有用であることが示されました。

図2 ウエスタンブロッティングによる抗CD9抗体の性能比較
COLO201細胞の培養上清からPSアフィニティー法で精製した細胞外小胞のCD9をウエスタンブロッティングで検出した。
一次抗体: 抗CD9, モノクローナル抗体 (1K)
二次抗体: ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG (H+L) 抗体
検出試薬: イムノスター® ゼータ (コードNo. 291-72401)
参考文献
- Welsh, J. A. et al.: J. Extracell. Vesicles, 13(2), e12404(2024).
Minimal information for studies of extracellular vesicles (MISEV2023): From basic to advanced approaches


