組織深部を高解像・高輝度解析

SeeDB2 Trial Kit

データ提供元:
国立大学法人 九州大学医学研究院
坂口理智先生、今井猛先生
国立研究開発法人理化学研究所 柯孟岑先生

SeeDB2 Trial KitはSeeDB2法に使用する透明化試薬キットです。本法は柯孟岑、今井猛博士らにより開発されました。キットに含まれる溶液を調整し、脳組織ブロックを浸漬することで透明化が可能です。

本法は、脳組織の微細構造を保存し、高い屈折率 (RI=1.52) に調整されるため高解像度イメージングに適しています。今まで困難であった樹状突起スパインの定量解析などへの応用が可能です。

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SeeDB2特長

  • 微細構造を保存しながらの透明化
  • 高屈折率に調整されるため、深部観察も可能
  • 蛍光タンパク質の蛍光を安定に保持

   ※Alexa dye等は褪色します。

透明化可能組織

マウス脳組織ブロック、ハエ全脳、オルガノイド/スフェロイド

SeeDB2 Trial Kit キット構成

  1. SeeDB2G Solution 50 mL x 1本
  2. SeeDB2S Solution 50 mL x 1本
  3. PBS(-) 50 mL x 1本
  4. Saponin 5 g x 1本

SeeDB2S:油浸レンズ用浸漬液の屈折率 (1.52) に合わせてあり、油浸レンズでの観察時にマウント剤として使用可能。高解像度イメージング向け。
SeeDB2G:グリセリン浸レンズ用浸漬液の屈折率 (1.46) に合わせてあり、グリセリン浸レンズでの観察時にマウント剤として使用可能。大きめの組織サンプル観察向け。

透明化に必要なもの (詳細は添付文書をご覧下さい)

試薬
  1. SeeDB2 Trial Kit
  2. パラホルムアルデヒド (製品コード:160-16061)
  3. 1 x PBS (製品コード:164-25511)
  4. レンズ浸漬液
器具
  1. リングピンセットもしくは絵筆
  2. チューブローテーター
  3. 滅菌フィルター
  4. ビブラトーム
  5. 透明化サンプル観察容器 (See Through Chamber)
  6. スライドガラスおよびカバーガラス (See Through Chamberを用いる場合は不要)
  7. SeeDB2透明化標本向け蛍光顕微鏡と推奨対物レンズ※※

※共焦点顕微鏡、2光子顕微鏡、超解像度顕微鏡
※※屈折率 (RI=1.46もしくは1.52) に合った対物レンズをご用意ください。データ取得前にお手持ちの顕微鏡メーカーに確認することを推奨いたします。

プロトコル例

マウス脳0.5-2 mm厚スライスの場合

マウス脳0.5-2 mm厚スライスの場合
  • Permeabilization Solution:2% saponinを含むPBS溶液
  • Clearing Solution 1:20% saponinを含む水溶液とSeeDB2Gを2:1の割合で混合したもの
  • Clearing Solution 2:20% saponinを含む水溶液とSeeDB2Gを1:1の割合で混合したもの
  • Clearing Solution3:2% saponinを含むSeeDB2G
  • Clearing Solution 4:2% saponinを含むSeeDB2S
図1.SeeDB2を用いたマウス脳の透明化例
マウス脳スライス (1.5 mm厚) のSeeDB2処理前後

アプリケーション例

マウス脳スライスの共焦点顕微鏡観察例

図2.Thy1-YFP H lineマウス脳スライスを共焦点顕微鏡で観察
NA 1.4 の油浸レンズを使用。レーザーパワーを変えなくても、上から下までほぼ一定の輝度が得られる。スケールバーは 2 µm。

超解像度顕微鏡観察例

SeeDB2S/Super Clear Mount (製品コード:190-18661) を使用し透明化およびマウンティングしたものを超解像度顕微鏡で観察 (図3、4)。

  • 図3. 細胞膜におけるフィロポディアの伸展
    細胞膜にEGFPを発現させたHEK293T細胞を、核染色試薬、ミトコンドリア染色試薬で染色し観察。細胞膜におけるフィロポディアの伸展を超解像度データで得られた。
  • 図4. ショウジョウバエ脳の深部超解像度イメージング
    Mi1 (ショウジョウバエ脳のメダラ神経節にある神経細胞) をGFPで標識し、超解像度観察 (深さ約100 μm)。

神経細胞の多色蛍光イメージング

図5. Tetbow法による神経細胞の多色蛍光イメージング
マウス嗅球僧帽細胞・房飾細胞をTetbow法*で標識したデータ。スケールバーは20 μm。
*Tetbow法:個々の神経細胞を異なる色で高輝度に染色する方法

参考文献

  1. Ke et al.,: Cell Reports 14, 2718(2016)
  2. SeeDB Resources (https://sites.google.com/site/seedbresources/): updated information and technical TIPs from the authors.
  3. Sakaguchi et al.,: eLife 7, e40350(2018).

FAQ

手法について

透明化中にサンプルは膨張しますか。
SeeDB2はサンプルの膨張がほとんど起こりません。そのため、サンプルの微細構造の保存及び観察に優れております。
透明化後のサンプルの保管はどうすればよいですか。
SeeDB2Gサンプルは冷蔵、遮光保管してください。
SeeDB2Gで長期保管する際は、アジ化ナトリウム0.05(w/v)%を添加して下さい。
SeeDB2Sサンプルは常温、遮光保管してください。
なお、SeeDB2Sにはあらかじめアジ 化ナトリウムが添加されていますので、別途添加の必要はございません。

観察について

蛍光タンパク質のシグナルはどの程度保持されますか。
6か月以上観察可能です。
蛍光色素染色、抗体染色は可能ですか。
可能です。透明化処理の前にご実施ください。
ただしAlexa等の一部の色素は退色しやすいため、ご注意ください。
手法詳細は、DOI: 10.21769/BioProtoc.3046をご確認ください。
どのような観察容器を使用すればよいですか。
組織サンプルより少し大きい径のディッシュや、サンプルの厚みに合わせたSee Through Chamber をご使用ください。
どのような顕微鏡を使用すればよいですか。
共焦点顕微鏡、二光子顕微鏡、超解像度顕微鏡などをご使用ください。また、SeeDB2G(RI=1.46)やSeeDB2S(RI=1.52)の屈折率に合った対物レンズをご使用ください。参考情報としてEvident社製対物レンズ一覧を掲載しています。もしくは、お手持ちの顕微鏡メーカーへお尋ねください。
SeeDB2GおよびSeeDB2Sはどのような浸液を使用すればよいですか。
SeeDB2G(RI:1.46)でマウントした標本はグリセリンでイマージョンし、グリセリン浸レンズで観察、SeeDB2S (RI:1.52)でマウントしたサンプルはイマージョンオイルでイマージョンし、油浸レンズで観察することを推奨します。

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透明化サンプル観察容器

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    【試薬】
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