【総説】水道水質検査における陰イオン界面活性剤(LAS)のLC-MS/MS分析法の開発
本記事は、和光純薬時報 Vol.91 No.1(2023年1月号)において、国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部 小林 憲弘様に執筆いただいたものです。
水道水質基準項目の一つである陰イオン界面活性剤は、過去5年間の調査で基準値の10%を超過する地点が存在し、販売量が横ばいで安定していることから、厚生労働省による近年の評価では、「引き続き水質基準項目とし、給水栓での検出状況等を注視していくことが適当である」とされている1, 2)。
陰イオン界面活性剤には幾つか種類があるが、水道水質基準ではそのうち最も出荷量が多いアルキル鎖がC10〜C14の5種類の...