PFAS分析、何から揃えるべきか──2026年の水質基準改正に備えて
この記事ではPFAS分析を行うお客様から伺った、いま現場で求められる標準液、溶媒、カラム、受託分析などの製品、サービスをまとめてご案内します。
はじめに
2026年4月よりPFOS・PFOAが水質基準化、また、PFNAをはじめとした7種のPFASが要検討項目に分類される見込みです。水のPFAS分析に対する必要性が高まるとともに、食品中のPFASについても関心が高まっています。

2025年6月時点の水道法におけるPFASの位置づけ

2026年4月以降の水道法におけるPFASの位置づけ (見込み)
これらの分析実施に向けた対応が求められる一方で、現場からはこんな声が聞かれます。
- 「必要な標準液が高価で、揃えるハードルが高い」
- 「食品分野の分析にも対応できるのか?」
- 「安心して使用できる前処理用カラムや溶媒がほしい」
富士フイルム和光純薬では、こうした不安に応えるべく、PFAS分析に必要な標準液・前処理カラム・低PFAS溶媒・消耗品を一通りご用意しています。
さらに、食品・環境分野に対応した受託分析サービスのご紹介も可能です。
本ページでは、PFAS分析体制を整えるうえでの実用的な選択肢をわかりやすくご案内します。
PFASとは? そして、なぜ"今"が重要なのか
PFAS (有機ふっ素化合物) は、優れた撥水性・耐薬品性などの特性から、工業製品、食品包装、半導体など幅広い分野で使用されてきました。
一方で、極めて分解されにくく、環境中や人体に蓄積することが大きな問題となっており、世界各国で規制が強化されています。
2026年4月、水道水の水質基準が改正されます
環境省は、PFOS (パーフルオロオクタンスルホン酸) とPFOA (パーフルオロオクタン酸) について、水道法上の「水質基準」とし、基準値については現在の「暫定目標値」と同様に2種の合計値を「50 ng/L以下」とする方針を示し、2026年4月に施行される見込みです。
この方針により、全国の水道事業者や分析機関はPFAS分析体制を整備する必要があります。
普段、口にする水道水中のPFAS含量の基準化は、食品や土壌などに含まれるPFASに対する関心の高まりのきっかけとなり、人への影響評価や汚染実態の調査が広く行われています。
PFAS分析の現場が抱える課題
課題 | 実態 |
---|---|
高価な標準液 | 分析対象の種類が多く、すべて揃えるにはコスト負担が大きい |
食品分析への対応 | 水道水以外の試料 (食品・環境) に対応できるか不安 |
前処理カラム・溶媒の選定 | 微量定量にはPFAS汚染の心配がないPFAS分析対応の製品が不可欠 |
富士フイルム和光純薬のPFAS分析ソリューション
当社では、PFAS分析に用いる各種製品を取り揃えております。2026年度の水質基準改正に対応しております。
標準液ラインアップ
- 3種混合標準液:PFOS・PFOA・PFHxS
- 3種混合内部標準液:PFOS・PFOA・PFHxSの内部標準液 (ラベル体)
- 26種混合標準液:短鎖~長鎖PFASを網羅 (GenXやPFMPA含む)
- 7種混合内部標準液:2026年度から要検討目に分類される7種PFASの内部標準液 (ラベル体)
- 標準品:PFNA 、PFDA 、PFDoDA 、PFHxA 、PFOSA など多数
PFAS混合標準液製品の対応表
2025年6月現在

2026年4月以降

PFAS分析対応溶媒
固相抽出カラム (SPEカラム)
当社では短鎖から長鎖のまで幅広いPFASの回収が可能な逆相陰イオンミックスモードのPFAS専用固相抽出カラムを販売しています。
- Presep® PFAS :シリンジ型の固相抽出カラム
- Presep®-C Agri (Short) :コマ型の固相抽出カラム ※溶出時にバックフラッシュが可能なカートリッジタイプ
消耗品 (PFASコンタミ対策済)
食品・環境分野にも対応:受託分析のご紹介
「装置がない」「急ぎで対応が必要」「食品分析の精度が不安」
そんなお悩みには、信頼できる受託試験機関の活用もご検討ください。
富士フイルム和光純薬では、株式会社食環境衛生研究所による受託分析サービスをご紹介しています。
対応内容
- 水、食品、土壌、排水など各種マトリクスに対応
- PFOS・PFOA・PFHxS・PFNAを一括分析
- 自主検査・輸出規制対応にも活用可能
PFAS分析よくあるご質問 (FAQ)
- なぜPFAS分析用の溶媒が必要なのですか?
- 市販の溶媒には微量のPFASが含まれている場合があり、サンプル採取容器の洗浄や前処理の際のコンタミの原因になる可能性があります。PFAS分析用溶媒はPFASのコンタミをケアした環境で生産し、PFAS含量が低いことを保証しているため、安心して使用できます。
- カラムの選定はどうすればいいですか?
- 各種分析メソッドに対応する最適なカラムをご提案いたします。
- 試薬を買わずに受託分析だけお願いすることは可能ですか?
- はい、可能です。用途やスケジュールに応じてご紹介いたします。
資料請求・お問い合わせ
PFAS分析に必要な製品・情報を、用途や環境に合わせてご提案いたします。
カタログ請求からご相談、受託試験のご紹介まで、お気軽にご連絡ください。
最後に
PFAS分析は、"制度対応のための準備"から、"社会的責任としての対応"へと移行しつつあります。
富士フイルム和光純薬は、信頼性の高い製品と、分析現場に寄り添った支援を通じて、皆さまの「正しく測る」を、確実に支えてまいります。