【連載】ミクログリア研究の最前線−基礎から臨床へ− 「第3回 脳内貪食細胞の謎に迫る」
本記事は、和光純薬時報 Vol.89 No.1(2021年1月号)において、東京大学 大学院薬学系研究科 薬品作用学教室 河野 玲奈様、池谷 裕二様、小山 隆太様に執筆いただいたものです。
貪食は免疫機構における重要なプロセスである。体外から侵入してきたウイルスや病原菌だけでなく、体内で産生される細胞の死骸や異常な凝集たんぱく質など、あらゆる不要物を対象として、貪食の" プロフェッショナル "である食細胞がその役割を担う。脳内では、組織常在性マクロファージ(この呼称には批判的な見解もあることに留意されたい)とも呼ばれることもあるマイクログリアが主要な免疫細胞且つ食細胞と考えられており...