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合成・材料

合成・材料 テクニカルレポート

【テクニカルレポート】光塩基発生剤(WPBGシリーズ)

本記事は、和光純薬時報 Vol.81 No.3(2013年7月号)において、和光純薬工業 化成品研究所 酒井 信彦が執筆したものです。

UV(紫外線:Ultra Violet)を利用した化学反応は古くから知られており、さまざまな分野で広く応用されている。中でも、UV 照射によってラジカルや酸などの化学種を発生し、モノマーを重合もしくは架橋させて硬化樹脂を形成する技術は、電子産業、塗料、インキ、接着剤、封止材の分野で幅広く利用されている。硬化が迅速であるため生産効率を飛躍的に向上できることや、UV 照射部分にのみ選択的に微細な加工を...

合成・材料 特別講座

【特別講座】ターボ Grignard 試薬の展開

本記事は、OrganicSquare Vol.44 (2013年6月号)において、サイエンスライター 佐藤 健太郎 様に執筆いただいたものです。

エーテル溶媒に浸した金属マグネシウムに、ハロゲン化アルキルの溶液をゆっくりと滴下し、Grignard 試薬を生成させる。これは、有機合成化学者なら必ず経験する実験であろう。筆者も初めて Grignard 試薬を作った際には、先輩に見守ってもらいながら、反応が暴走しないようにおっかなびっくりで実験を行ったことをよく覚えている。無事実験を終えた後、何か化学者としてひとつステップを上がったようで、少し誇...

合成・材料 総説

【総説】界面集積型脱水縮合剤とその反応

本記事は、和光純薬時報 Vol.81 No.1(2013年1月号)において、金沢大学医薬保健研究域薬学系 国嶋 崇隆 先生に執筆いただいたものです。

ミセルの特性のうち、反応場という観点から重要なものとして、次の3点を上げることができる。すなわち、①水中に溶解/分散している脂溶性分子の取り込み作用により、ミセル内でそれらの濃度が高まる局所濃縮効果、②両親媒性化合物の場合、極性官能基を界面に向けて取り込まれる前配向性効果、③会合解離を繰り返す平衡系であるため、取り込まれる分子の出入りが速いこと

合成・材料 特別講座

【特別講座】オレフィンメタセシス触媒の最近の進歩

本記事は、OrganicSquare Vol.41 (2012年9月号)において、サイエンスライター 佐藤 健太郎 様に執筆いただいたものです。

長い化学の歴史の中で、有機合成を根底から変えた反応のひとつとして、オレフィンメタセシス反応を挙げることに異論のある者はないであろう[1]。最も安定な結合である炭素-炭素二重結合が切れて組み替わる、他にほとんど類例がないユニークな反応である。オレフィンメタセシスの歴史は意外に古く、その発見は 1960 年代にまで遡ることができる。特異な反応形式は多くの化学者の興味を惹き、早い時期からメカニズムの解明...

合成・材料 特別講座

【特別講座】拡大するボロン酸の化学

本記事は、OrganicSquare Vol.39 (2012年3月号)において、東京大学大学院 理学系研究科化学専攻 特任助教 佐藤 健太郎 様に執筆いただいたものです。

2010 年のノーベル化学賞が、R. Heck・根岸英一・鈴木章の 3 氏に与えられたことはまだ記憶に新しい。受賞対象となったクロスカップリング反応の中でも、ボロン酸及びその誘導体を基質として用いる「鈴木-宮浦反応」の有用性は極めて高く、この試薬の存在こそがノーベル賞への決め手であったといっても過言ではない(図 1)[1]。

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